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ラビットプレス+10月号


混沌とした世界、グローバリズムが人々を蝕んでいる(イメージ)

平成30年9月6日午前3時07分59.3秒。北海道胆振地方中東部を震源として発生したマグニチュード(地震規模)6.7、最大震度7の地震(北海道胆振東部地震:気象庁)。日を追うごとに地震災害特有の被害拡大の状況が明らかになり、9月10日時点で死者41名という惨事に心を痛めている。
他方、6月の大阪北部地震、7月の西日本豪雨、8月の台風20号・21号の連続した風水害。これだけの大規模自然災害がたて続くと、災害救助や復旧復興に携わる関係者の人財、資材不足は深刻な状況となっている。時間の経過と共に被災地の人達には焦りと疲労の色は濃くなるばかり。そこに新しい災害が起こると世間の注目は移り、地元は忘れ去られる不安感に襲われる。それぞれの置かれた状況と苦難は被災者本人の身上から他所に移ることはない。そこに留まっているのだ。心を強く持って、少しでも前を向いて行くしかない。敢えて言う。『頑張って』と。


災害は人生を最も狂わせる出来事である(イメージ)

心理学は科学である。占いや統計心理判断(心理テスト)、スピリチュアルやオカルトの類とは違う。拙者はそのことをお伝えしたくて本編の連載をお引き受けした。人はどういう状況で何を考え、何を思いながら行動するのか。そしてどう成長して行くのか。集団は何故一定の行動を示すのか。男と女は何が違うのか…。その答えは想像や深層心理という立証不可能な論理で説明されるものではなく、実験と考察を経て導かれ、裏付けされなければ科学とは言えない。その過程を研究するのが現代の心理学である。しかしながら人の「心」は一筋縄でいくほど簡単なものではない。仮説から始まる実験の結果は、往々にして研究者を裏切る。そしてまた別の仮説を基に研究を続ける。その繰り返しが時には数年、十数年という時間を必要とする。そうして得られた結果が立証された時、学問上の理論は確立し、臨床に応用され、悩める子羊を救う一助となるのである。
心理学は人に寄り添い日常生活に役立つ学問である。心理学を正しく知れば、かつて不変と決めつけられていた人の「性格」も変えられる(正確には外因によって形成された変えられる部分と、遺伝的に組み込まれた個性と幼少期に影響が強かった環境等の要因により形成された変わらない性格が存在する)。
例えば何かに躓いた時、失敗して落ち込んでいる時、心理学者がサポートすれば、「何故そうなったのか、その人の行動の何処に問題があったのか」を条件や状況設定を次々と変えて検証し、その原因を探り科学的に立証するだろう。そうすると瞬時にその問題点を見つけ出し、適切なカウンセリングの下でその人を救うことが可能となる。

本編の最終講として読者諸氏にお贈りする今月号は、グローバリズム社会という異質の文化、生活圏で培った性格の個人個人が融合を余儀なくされる現代において、多くの人々が取り残されている現実を鑑みたとき、これからの社会、世界を生き抜くために必要な、心のスキルを高める方法を伝授する。少しでも多くの人が幸福度を高めて頂ければ幸甚である。

【性格分類と性格分析】
ドイツ出身(後に英国へ)の心理学者でパーソナリティ研究の第一人者であるハンス・アイゼンク(Hans Eysenck,1916年~1997年)は、性格を「遺伝と環境によって決定される実際的もしくは潜在的な行動パターン」と定義して、因子分析法を用いてパーソナリティを構造的に理解しようとした。その研究結果において、パーソナリティの根幹をなす基本的次元を「外向(≠外交的)-内向」と「情緒不安定-安定(神経症的傾向)」の二つで説明している。
外向と内向とは、物事の判断基準を外側に求めるのか、内側、つまり自分の側に求めるのかということで、簡単に言えば、相手の身になって考えるのか、自分を主体として考えるのかの違いである。
また、情緒不安定-安定を心理学的に説明すれば、物事の白黒をはっきりつけたがるか否かとうことに集約される(心理学者・臨床心理士 青木理恵著「本当にわかる心理学」)。そこからハンス・アイゼンクは「性格のBig5」を提唱し性格を分類した。

ハンス・アイゼンクによる性格分類
性格のビック5 外向的―内向的 情緒安定―不安定
A 平凡性格 どっちつかず どっちつかず
B 危険性格 外向的 不安定
C 穏やか性格 内向的 安定
D リーダー性格 外向的 安定
E 変わり者性格 内向的 不安定
※以上本編2018.2記事参照

Aタイプ(平凡性格)
外と内、自己と他者、本音と建前という両方の側面を大切にする。思考は論理的であり、場の雰囲気を重んじ、大成功を目指すよりも大失敗を回避しようとする慎重派である。

Bタイプ(危険性格)
自尊心や自己顕示欲が非常に強く、現状分析に妥協が無い。つまり、我武者羅に突き進むような印象を与えるので、協調性に欠け、問題行動と捉えられる言動を明け透けに行うことも。一方で、想像力に長けており豊かな精神世界を持っていることから、傷つきやすいロマンチストであるといえる。

Cタイプ(穏やか性格)
情緒安定が特徴的であり、感情の起伏が少ない。粘り強く気が長い。対人関係の発展を好まず、孤独を好む傾向にある。明確な表現や自己主張は控え気味であるから、やる気の無さと誤解されるが、本人はそれを否定し説明するという行動には出ずに自己消化してしまう。

Dタイプ(リーダー性格)
競争心が強く、目立ちたがり屋。他者からの評価を気にする。社交的で人に動じないところが長所だと自負し、また得意である。目的を持った集団を統率する能力があり、他の意見を取り入れる寛大さを持つ。世話好き、お節介。

Eタイプ(変わり者性格)
何を考えているのか他者から最も理解され難いタイプ。反面、自己完結型であり明確な目的意識を有している。すなわち我が道を行く強さを持っており、時に高次元の発想力を発揮することもある。自己愛性的で、個人主義である。


性格はいつ決まる??(イメージ)

次に性格を分析するための指標である主要5因子性格検査(性格分析のBig5 model)をおさらいしよう。
これは、誠実性、協調性、情緒安定性、開放性、外向性の5つの因子で性格を測定する検査である。通常の人間関係では表面化し難い、本来持っている“見えない性格”までわかるとされ、面接や行動観察で見落としやすい情報を補足することが出来るとあって、その人に向いている職種や部署、指導方法などを見つけるためや、性格の基本的な特徴が把握できるので、職場での適正な人員配置、学校での生徒指導、採用試験、入学試験など、世界中で採用されている。この検査での結果は、パーソナリティを「尺度scale」で理解し、5つの因子の連続性の下に診断を行うことが特徴であり、信頼性が高く、研究者の間でも好んで使われている。

※設問に対して加点する点数
1=全く当てはまらない
2=殆ど当てはまらない
3=どちらかと言えば当てはまらない
4=どちらとも言えない
5=どちらかと言えば当てはまる
6=ほぼ当てはまる
7=全くそのとおりである

※設問:自分のことを…
1.活発で、外向的だと思う
2.批判的で、揉め事を起こしやすいと思う
3.しっかり者で、自分に厳しいと思う
4.心配性で、うろたえやすいと思う
5.新しいことが好きで、変わった考え方をもつと思う
6.無口で、静かだと思う
7.同情しやすく、優しい人間だと思う
8.だらしなく、うっかり者だと思う
9.冷静で、気分は安定していると思う
10.独創的ではなく、平凡な人間だと思う

※集計方法:
誠実性=(項目3.の点数+8-項目8.の点数)÷2
協調性=(項目7.の点数+8-項目2.の点数)÷2
情緒安定性=(項目9.の点数+8-項目4.の点数)÷2
開放性=(項目5.の点数+8-項目10.の点数)÷2
外向性=(項目1.の点数+8-項目6.の点数)÷2

※スコアの考え方は、成人の平均値と比較する。最高点は7ポイントである。
誠実性:4.61
協調性:4.69
情緒安定性:4.34
開放性:5.51
外向性:3.98
※TIPI(Ten items personality inventory)


特定のタイプに個人を当てはめるのとは違い、「性格分析Big5 model」では各因子を連続的に捉えて個人の特性はその尺度のどこかに位置すると診断する。従って、被験者の年齢や年代、環境や個人の経験によって受検毎にスコアは変動して当然である。また、5つの因子は全て約50%の割合で遺伝的な要素があることが分かっており、幸福感、健康、目標達成能力(ウェルビーイングwell being)にも影響することも解明されている。Big5によるパーソナリティ特性の特徴は、前述のとおり「類型」ではなく「尺度」であることから、外向型と内向型の中間に位置する「両向型」が存在することになる。人は多くの場合、この両向型であるとも言われる。

1.誠実性
誠実性のスコアが高いということは、計画性があり、規律正しく、忍耐強いという特性があることが分かっている。他にも注意深く、賢明であるという評価もされる。軽率な行動は慎み、非衝動的である。そして、誠実性には人が感じる幸福度と深い関係があるとの研究成果が示されている。
誠実性は学業や就職に大きく影響し、健康長寿にも深く係わっている。その理由は、誠実性が高い人ほど、学校や社会のルールをよく守り、健康に関して良い習慣を身に付けているからだと言える。誠実性の高い人は秩序正しい予測可能な場面では能力を発揮することが分かるが、芸術性や臨機応変さが求められる世界では、誠実性のスコアが低い人の方が評価されている。

2.協調性
協調性が高い人は、好感が持てる、協力的、友好的、同情的であり、低い人は対立的でコミュニケーション下手、意地が悪いなどと評価される。従って、協調性は社会生活にとって必要なパーソナリティであることは当然である。初対面の相手方を観察する場合、人は協調性の有無を真っ先に判別しようとする。「この人は自分の味方か、敵か」を瞬時に判断する能力は、人類が歴史の中で本能的に学んできた習性であるという。

3.情緒安定性
パーソナリティの課題として特に対象とされているのが情緒安定性の研究である。情緒安定性と幸福度には相関関係が明らかである。情緒安定性が低いほど主観的幸福度が低く、ネガティブである。対人関係にも悪影響を及ぼし、社会生活に満足度を感じられず、健康被害も多いことが分かっている。これは医学的な精神疾患の患者の状態のことではないが、医学的な見地からも脳の「扁桃帯(危険を察知する能力を司る器官)」が過敏であることが証明されている。言い直せば、そうでない人が見過ごしてしまうような小さな兆候をも察知する能力に優れ、警戒心が過剰になっている状態を維持するので、常に強いストレスを感じ、免疫系の疾患に罹りやすいとされる。不安症、抑鬱、感情的な脆弱さを抱えやすくなる。
対称的に、情緒安定性が高い人は、他のパーソナリティ特性に好影響を与えることが分かっており、情緒が安定しているときに誠実性や協調性は更に好転する。

4.開放性
新しいことを受け入れる人は、喜怒哀楽の感受性が強い。
開放性とは、新しい人間関係や環境をどの程度受け入れられるかという尺度で、創造性(クリエイティビティcreativity)と関係が深く、このパーソナリティは特に遺伝的要素が強いと言われている。開放性が高い値を示す人は、文化芸術的分野に興味を示す傾向にある。開放性が高い人は、情緒安定性が低い人と同じく、抑鬱や不安を感じやすいことが分かっているが、それと違ってポジティブな感情も多く経験する。開放性の特徴は、ポジティブな感情とネガティブな感情の両方と深く結び付いていることが他の特性と異なるのである。新しい世界に興味を抱く特性は、当然そのことが評価される環境で能力を発揮するのであり、クリエイティブな職業に向いていると言える。

5.外向性
内向性と外向性の研究は、現代心理学の分野でもとりわけ多くの研究がなされている。生理学的に、脳の新皮質の領域における覚醒レベル(心理学で測定される概念で、そのレベルが高まると心臓の鼓動、血圧や呼吸が高まり、アドレナリン放出量が増加する。Arousal(覚醒)は脳の活性化と関連していると考えられており、医学的見地と併せて自分の今ある状態や、周囲の状況などを認識し、行動するために適切な意識レベルをいう)の違いによって説明され、外向性の高い人は普段、覚醒レベルが低く、内向性の人はそれが高い状態であって、日常生活を適切におくるために、外向性の人は覚醒レベルを上げようとし、内向性の人は逆に下げようとするのである。それが表面的な行動に現れるのである。
※以上本編2018.3記事参照


ストレッチもアドレナリン放出に(イメージ)

【性格は変えられるのか】
これまで、心理学で実際に使われている様々な評価基準や、時には科学的根拠の無い統計的指標を用いた心理テストなども紹介してきた。人はそれらを使い、自己分析を行い、また、他人や世の中を見ているのだということが理解頂けたと思う。しかし、それは固定的パーソナリティ特性という研究対象であって、「性格の不変性」という領域のものである。
一方、人の性格を内向型や外向型のごとく類型で区別することが正しいのかというとそうではない。人間には目の前の目標に近づくために、「生来(遺伝的要因も含む)持っている固定的パーソナリティを超えて行動出来る能力」があると拙者は信じている。
この章では、人がより良く生きるために、「自らの幸福度を高める努力=自ら変わろうとする努力」は、無意味なことではない、ということについて、パーソナリティ特性の“変えることが出来る”側面である「自由特性」を紹介する。

【貴方のキャラクターとは?…自然な行動、豹変する動機】
人々の毎日の行動を導くモチベーション(動機付け)は、心理学上、次の3つに集約されている。
1.遺伝的動機
現在研究が進んでいるパーソナリティ神経科学の分野では、遺伝的な気質によって説明される個体の性格を様々な実験によって証明される。例えば、新生児の音に対する反応実験では、大きな音に対する反応の違いで外向型、内向型の性質分類を実証している(刺激に興味を示す場合は外向型、恐怖を感じる場合は内向型)。
「レモンドロップ検査」
外向型は平常時における唾液の分泌量とレモンドロップ(強い刺激)を与えた場合の分泌量に大きな変化は起きないが、内向型においては平常時から覚醒レベルが高い特徴があり、強い刺激に反応して唾液分泌量が増大する。この実験結果は、内向型の人は日常生活においても刺激に緊張し易いことを裏付けるもので、気分が高揚したり冷や汗をかいたりというような精神的肉体的反応を引き起こす。
2.社会的動機
人間の行動は、社会的、文化的な規範やマナーなどから得た社会的動機によって多大な影響を受けている。人は幼少期から生涯を通して様々な状況下で求められる社会的生活適応能力(モラール)を会得するため、親からの躾や、学校生活での学習などを繰り返し、必然的にその場に応じた適切な対応が執れるようになっていく。外向的・内向的の行動も、生物学的な遺伝動機だけではなく、社会的要因によって影響され、それは生活圏や国の違いなど、固有の文化によっても影響される側面や度合いに違いが生じる。例えば、欧米先進国(アングロサクソン)などでは外向型に対する評価が高く、アジア諸国(特に仏教国)では内向型の特徴に美徳を与えるなどである。後述するが、現代社会の盲点は、これら異文化の人間同士のグローバリズムに起因するのである。
3.個人的動機
英国出身の心理学者でパーソナリティや動機付けの研究分野の第一人者、ブライアン・R・リトル(ハーバード大学教授)が名付けた日常生活における個人的な計画や目標(パーソナル・プロジェクト)との関係から行動を理論づけたもので、個人特有の動機である。パーソナル・プロジェクトとは、個人の日常生活における些細な目的行動(例えば毎週月曜日にカーブスに行く、など)から、個人が人生に描く目的、目標などに向かうための行動計画(例えば5年後に会社を興して独立するためにあれこれをする、など)のことで、これら達成のために人は行動するのである。


すっぱい刺激で反応するのは?(イメージ)

遺伝的動機は自然な行動を、社会的動機は社会規範に従った行動を導くのに対し、個人的動機は他者から理解されない行動を導くのである。例えば、会議中は全く発言しないのにアフターファイブでは別人のように振る舞う同僚や、自動車に乗るや否や人が変ったように凶暴になる問題行動は、傍目からは理解し難いものである。これらを理解するためには個々の心理の解明であり、変化する性格(パーソナリティ)の一面である「自由特性」を理解しなければならない。

【変えられる性格の応用と別人格の形成が幸福の鍵】
自由特性とは、元来遺伝的または社会的動機によって固定した性格による行動とは違って、どうしてもこなさなければならない日常の目的のために、本来の自分とは異なる行動を導くものである。
ここまでで、読者ご自身の性格の分析が出来、本当の自分を理解した方を最終ステージに招待しよう。
さて、自由特性は他人が貴方を、貴方が他人を判断するのに理解が必要なのであるが、では、自分が自分の自由特性を理解し、使い分けることが可能なのだろうか。日々の暮らしの中で、今の自分は自由特性に導かれて、本来とは違う自分を演じている、というような感覚でパーソナル・プロジェクトを遂行しているというような、神のような人間は存在するのだろうか。
人は自由特性に導かれた行動をとる。その理由を前出のリトル博士は「プロフェッショナリズム:professionalism」と「愛情」が重要と説く。プロ意識や専門家としてのスキルを備えた人とは、何も特殊な世界の限られた人間だけではない。一般的な人も様々な分野ではプロフェッショナルであると言えるし、また誰しもが個人の得意分野を持っている。日常生活では、他からの依頼はその得意分野に向けてなされるのであり、全く専門外の用を頼まれることはない(頼まれても出来ない)。それが例えば講演の依頼であったら、外向型の人は快く引き受けるだろうし、はつらつとした講演を成功させるだろう。反面、内向型の人は、引き受けることに先ず躊躇し、悩み、緊張する。的を射た依頼であれば引き受けざるを得ず、渋々承諾した後が大変である。しかし、こういうことが度重なると、次第にそのミッションをこなせるようになる。これを“場慣れ”という一言で片づけられてしまうのは不本意なのである。内向型で、人前で話をすることに強いストレスを感じる人にとっては、固定的性格上、何度やっても慣れることはない(変わらない性格)にも係わらず、段々上手くなっていき、傍目には講演嫌いの片鱗も見せなくなるのは何故だろうか。
他方、愛する誰かのために、本来の自分を押し殺して苦手な行動を執ったことは無いだろうか?おそらく誰もが一度や二度は経験しているはずである。その愛情が深ければ深いほど、普通なら絶対にやらないこともやってしまう。例えば愛する娘のために手の混んだお弁当を早朝から作っている自分は、実はとてもぶっきらぼうで面倒くさがりの内向的な性格だと分かっている。でも何故それを何年間も持続できるのか。答えは貴女の娘に対する愛がそうさせる。そういう母を演じさせるのである。


ホントに嫌なら作れない!(イメージ)

これらの望まざる行動は、自身のキャラクターから脱することで実現する。遺伝的な気質や社会的動機に基づく行動は、「自然なキャラクター」として殆どストレスが掛らない。では前述した個人的動機による行動は自然ではない行動なのだろうか。
回数を重ねるごとに上達し、傍目からは楽しそうにも見える講演や、眠い目をこすりながら作る愛情弁当の出来上がりに満足する優しい母は、講演者はかくあるべきとか、一般的に良き母親とは、という社会規範に従って行動していると言える。従って、その人にとって実は自然な行動であると言えるのである。人は遺伝的動機、社会的動機と共に、個人的動機に導かれる自由特性も含め、三つの動機を基に行動しているのである。そして、特に遺伝的動機に基づくパーソナリティが環境と合致した時、幸福度は最高点に達し、充実感を得ることが出来る。しかし、常にそれが人の日常に実現するわけではないから、時には自由特性による“望まざる自分”を演じなければ生きて行けない。だからこそ、自由特性に導かれる自分を客観的に制御する能力が求められるのである。このことこそが、「別人格」を形成し、それを客観的にコントロールするということなのである。


ここはパラレルワールドなのか?(イメージ)

これからの時代、グローバル社会において過去経験したことの無い環境の変化が押し寄せてくる。例えばインバウンドに象徴される異国の人々との共生。例えば自らが外国に居を移す必要性。また、多発する自然災害の被災者となった時、貴方はどう生き延びていくのか、など。そのような境遇の中で、ストレスに潰されずに幸福度を上げていくには、時として、意に反して演じなければならない自分をも、自然な行動であると認識し、潜在的な性質に眠る未知の自分を認め、それも自然だと許容できる心を持つことが鍵である。
ただ、人は“変わらない性格”が本質であるから、本質の自分に戻る場所が必要となる。それは人によって違う。誰にも邪魔されずにクールダウン出来る場所を持つこともとても重要な鍵なのだと思う。
この「二つの鍵」を手に入れたら、間違いなく幸福なのである。

<執筆日:2018年9月13日>