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女不動産屋 柳本美土里

「麗華、おうちに着いたわよ」
妻の美鈴が、遊び疲れて後部座席で寝てしまった娘の麗華を起こそうと声を掛けた。
麗華は、小さくぐずっただけで、目を開けようとはしない。
「ふ~」
美鈴は、疲れを吐き出すように溜息をつき、すっかり暗くなった天を見上げた。
「いいよ、僕が抱いて行くから」
正継は運転席のドアを閉めて後部座席にまわると、ネズミのキャラクターのカチューシャをしたまま眠っている娘を抱え上げた。

どうしても連れて行って欲しいと、小学校に入ったばかりの娘にねだられ、ゴールデンウィークの最終日に行った東京ディズニーランド。
園内の混雑は言うまでもないが、正継がうんざりしたのは、駐車場から車を出し、近隣道路の渋滞から抜け出すのに2時間もかかったことだ。
ただでさえ、園内の人混みのなかで、何時間もアトラクション待ちをしたり、レストランでも並んだというのに、園を出てからもなかなか帰途につけないことが正継の疲労に輪をかけた。
それでも、妻と娘を無事に家に連れて帰らないといけない。
車に乗るなり寝てしまった娘と、運転している自分に気兼ねをしているのだろう、首をガクガクさせながら前後左右に舟を漕ぎながら、なんとか起きていようと頑張っている妻を無事に連れて帰らないといけない。
疲れのピークを感じながらも、正継は気力だけでさらに1時間余り運転した。

「あなた、テーブルの上に手紙を置いておくわね」
階段の下から妻の美鈴の声がする。
車の荷物を降ろすついでに、郵便受けの手紙を取って来たようだ。
正継は、小学校に入学した先月から娘の部屋とした子ども部屋のベッドに麗華を横たわらせ、階段を下りた。
今日はもう限界だ。少しでも早く横になりたい。
そんな気持ちで通り過ぎようとしたリビングのテーブルの上に、見慣れない薄いウグイス色の封筒が置いてあり、正継の目に留まった。
「柳本不動産?」
会社所在地は、正継が育った地元のようだ。
「さて、どういう手紙なんだろう?」
中身を破ってしまわないように気をつけて、指先で封を切った。

手紙には、正継が所有している家が空き家のまま放置されていること。
放置していては、環境にも良くないし、税金がかかるだけだから、売るか貸すかしてはどうかという提案が書かれてあった。
実家の名義変更は先月済んだばかりなのに、よく自分の住所まで調べたものだ。
そんなアプローチの早さと、調査能力にびっくりする。
確かに、この不動産会社が言うように、空き家のままにしておいても固定資産税がかかるだけだろう。
放ったらかしておくと家も傷むというし、これからの季節は、庭の雑草が大きく育ってしまうのだろう。
実家の家を思うと、子どもの頃に父と一緒に庭の草抜きをした記憶が甦ってきた。
引っ張っても抜けない雑草は、左手で束ね右手で草刈鎌を使い根元から刈っていく。
雑草がきれいに除かれた庭を見ると、清々しい気持ちになる。
そして、ひととおり作業が終わると、母が井戸で冷やしてくれていたスイカを頬張るのが楽しみだった。

妻の美鈴は東京生まれの東京育ちだし、娘の麗華もここ東京で生まれ、小学校に通い始めている。
ほぼ永遠に、家族が関西の実家に移り住むことはないのだろう。
さて、どうしたものか?
特に急いで売ってしまう必要はないけれど、子ども時代を過ごした家を放置して、朽ち果てていくままにするのも心苦しい。
こうした手紙を受け取ったのも、そろそろ何とかしないといけないタイミングなのかもしれない。
頭が痺れているような感覚を覚え、エレクトリカルパレードの音楽が流れ続けている。
疲れのせいだろう、今日はこれ以上、何も考えたくない。
正継は、足を引きずるようにして寝室に向かい、ベッドへ倒れこんだ。

「はい、柳本不動産です」
営業の河野の声は弾けていた。
いつもよりもトーンが高いのは、1年がかりで取り組んでいた不動産の売却の目途が立ち、来週には契約をすることが決まったため、気持ちが軽くなっていたためかもしれない。
「お手紙をいただいてお電話させていただきました山下と申します・・・」
電話の主は、相続登記をした人に出したダイレクトメールの反響のようだ。
駅から徒歩7分くらいの場所にある、商店街の南側の家の所有者からで、現在は東京に住んでいるらしい。
敷地は80坪ほどあり、建物も1階と2階を合わせると30坪弱くらいの広さがある。
建物は築後50年近く経っている。
所有者の山下氏の話では、できれば売らずに貸したいとのこと。
しかし、そんな古い家でも貸すことはできるだろうかという心配を持たれているようだ。

「そうですね、実際に見せていただかないとはっきりとした話はできませんが、壊れていたり汚れていたりしているなら、補修をしたり改装をしたりすれば、貸すことは可能かと思います。そうした費用にどれくらいかかるかによって、貸すかどうかを検討されてはいかがでしょうか?」
山下氏の返答は早かった。
「そうですね。では、鍵をお送りしますので、見ていただいて、どれくらいの補修や改修が必要なのか、その費用はいくらくらいなのか見積りをとっていただくことはできますか?」
「はい、もちろんご提案の上、見積りもさせていただきます。またどれくらいの金額で貸すことができそうかも、査定させていただきますね」
それから2日後に、家の鍵が柳本不動産に届いた。

早速、河野は山下氏の実家を訪れることにした。
たしかに古めかしい雰囲気の家だけれど、和風建築の落ち着いた雰囲気がある。
室内に入ると、2間続きの和室の奥側には庭に続く広縁があり、ゆったりとした庭には立派な楓の木が立っている。
親御さんが住んでおられた頃には、定期的にメンテナンスしてきたのだろう。築年数の割には建物は傷んでおらず、漆喰の内壁も塗り替えてから、そう年数は経っていないようだ。
河野は隅々までチェックをし、リフォーム業者を呼んで、改装見積りを依頼した。
「柳本不動産の河野です。山下さんのご実家は、なかなか立派な和風のお家ですね。ただ、貸すとなると、2階の洋室の壁紙の張替と和室の畳の表替え、それとちょっと古めになってしまったキッチンの入れ替えをされれば、借り手はあると思いますよ」
河野は電話で山下氏にそう伝え、改装見積りと賃貸募集条件の提案書をメールで送る約束をして電話を切った。

早速、正継はパソコンを起動してメールをチェックする。
うん、改装総額が100万円くらいなら、なんとかなる金額だ。
賃料見込みが8万円ほどみたいなので、1年ほどで改装費用を回収することができそうだ。
「よし、改装工事をして貸し出すことにしよう」
良い人に住んでもらうことができればいいな。
さて、どんな家族が住んでくれて、あの庭先でどんな会話をするのだろうか?
子どもがいたりして、縁側で昔の自分と同じようにスイカの種を飛ばすのだろうか?
そんなことを想像していると、なんだか口元が緩んでくる。

「ありがとうございます」
正継は、受話器を持ったまま頭を下げた。
関西にある実家の改装工事が終わり、賃貸募集をしてから1ヶ月足らずで、借りたいという人が現れたそうだ。
30代の若い夫婦と小さな女の子2人の4人家族。
ご主人は、自動車販売会社の社員をされていて営業マンとのこと。
賃貸保証の会社からも審査承認が出ており、申し分ない借主だ。
出身が九州の田舎だそうで、田舎の家を思い出させる和風の家だったところが気に入ったという。
「どうぞ、よろしくお願いします」
賃貸契約の手続きなどを確認し、管理も柳本不動産に依頼をして、正継は受話器を置いて胸を撫で下ろした。

それから特に何事もなく、毎月きちんと賃料が銀行口座に振り込まれ、気が付くと賃貸契約をしてから2年を過ぎた頃のことだ。
勤務先の販売店が休日の木曜日、不意にリビングの電話が鳴った。
「山下さん、柳本不動産の河野です」
河野からの電話は非常に慌てた様子で、ただならぬ雰囲気を出している。
何かよからぬことが起こっているに違いない。
「落ち着いて聞いてください」
河野は、自分自身を落ち着かせようとしているかのように言った。
「借主のお嬢さんが、家のお風呂で事故にあったらしいんです」
事故?
「母親が目を離した隙に、お風呂で遊んでいたらしくて、足を滑らせて溜めていた水に頭から突っ込んでしまったらしいんです。先ほど病院に搬送されたようですが、女の子がどうなってしまったかは未だ判らないんですが・・・」
風呂場で?
正継は、記憶の中にある実家の風呂場を引っ張り出し、状態を頭に浮かべた。
そういえば、床から浴槽のへりまでが、最近の浴槽に比べて高かったように思う。
子どもを持つ親、それも同じく女の子を持つ親として、父親の心配はいかばかりかと思うと、胸が苦しくなってきた。
その後の状況が確認できたら、河野からまた連絡をもらえるとのこと。
「どうか、無事でありますように」
正継は、祈るばかりだ。

テレビは、話題のニュースの解説番組を流しているようだが、出演者の言葉が頭を素通りして全く入ってこない。
女の子は、どうなってしまったのか?
心配して待つことしかできない苛立ちのなか、数時間して河野から連絡が入った。
女の子は亡くなったらしい。
自分の実家の浴室での事故で。
法的には貸主の自分が責任を問われることはないとは思うが、正継は借主の家族に対し、なんだかとても申し訳なく、心に波が立った。
数日後、女の子を亡くした家族から、浴室に入る気持ちになれないからと、賃貸借契約解除の申し出があった。

「山下さん、どうさせていただきましょう?」
河野が、空き家となった家の賃貸を再募集するかどうかを尋ねてきた。
室内の事故で亡くなった場合、その物件は“事故物件”と言われ、一般的には忌み嫌われる物件となり、通常の賃料よりも下げないと借り手はつかないそうだ。
正継にとって、賃料を下げないといけないということは問題ではない。
新しい借主が住むようになれば、この心の波は、時間とともにおさまるのだろうか?
それとも、寄せては返す海のように、いつまでも浜に打ち続けるのか?
心の中の波がおさまるまでは、正継は家を貸すという気持ちになれない。
そして、それはいつになるのか?今の自分には、見通すこともできない。
それなら、波を起こしている原因を手放してしまえば、静かな水面を取り戻すことができるかもしれない。
「売ることってできますか?」
「えっ、ご売却ですか?はい、できますよ。でも、こちらも同じ理由で、かなり安くなってしまいますよ」
河野は、売るという選択肢を想像していなかったようだ。
「ええ、売れる値段で売れればいいと思っていますので、できれば売却をお願いしたいのです」
「わかりました。それでは、売り出し価格をご提案させていただくために、売却査定をさせていただきます」

事故物件でなければ、3000万円ほどで売れるだろうということだが、そのあたりの事情を考えると、売り出し価格は2000万円くらいでどうですか?と提案された。
「はい、解りました。それでは売却でお願いします」
既に正継の気持ちは固まっていた。
手放そう。
売り出した当初は、多くの問合せがあったようだ。
2000万円の金額は、相場からすると破格に安い。
しかし、そのどれもが“事故物件”だということを知ると、話が進まなくなってしまうのだ。
「中には、そういうことを気にしない人もいますから、もっと頑張ってみます」
営業の河野は、そう言ってはくれるものの、既に売り出しから半年が過ぎ、目に見えて問合せは減っている。
値段を下げれば売れるのだろうか?
いや、そもそも、そんな物件を買おうという奇特な人なんて、いないのかもしれない。

「社長、山下さんところの家ですが、どうしたらいいんでしょうね?」
河野も困っていた。
相場よりはかなり安いはずなのだが、やはり事故物件だということが原因で、売買契約までたどり着くことができない。
最近では、問合せもめっきり減ってきた。
売却価格を下げるという手もあるのだろうけれど、はたして売れるのだろうか?河野にも自信がなくなってきた。
「山下さんは、どうしても手放したいって言われてるの?」
柳本不動産の女社長、柳本美土里は河野を通して山下氏の気持ちを探った。
「ええ、山下さんは、あの事故がかなりショックだったようで、貸すことに大きな抵抗を持っておられるようです。あの家のことが精神的に重荷になっているようで、それで手放したいって思っておられて・・・」
「半年も頑張って売れないということなら、値段を下げることも必要だと思うけど」
「ええ、それはそう思うのですが・・・一般的な物件査定をすると3000万円なので、その3分の2程度の2000万円なら売れるかと思って、売り出し当初に提案したんです。でも、2000万円では売れないから、値下げしましょうと言えば、じゃあいくらなら売れるんですか?って訊かれると思うのです。そのときに、この金額なら売れるという線を出す自信がなくって・・・だって、事故物件だからいくら下げれば売れるという、査定マニュアルなんてないんですから」
河野は半ばやつあたりのように、言葉を吐いた。

「そりゃそうよ、そんなマニュアルがあるわけないわ。需要が大きく下がるわけなんだから、決まった法則を当てはめることなんてできるわけないのよ。必ず売れるという自信はないけれども、値段を下げるのも展開を変えるひとつの方法だということで、売主さんを説得するしかないじゃない」
美土里は、片腕を胸の下に置き、肘の台にして、もう片方の腕で顎を押さえ目をつぶった。
その姿勢は、ちょうど美土里の胸を下から腕で支えるような形になり、河野は慌てて目を逸らした。
美土里が目を開けた気配がしたと同時に、声が飛んできた。
「河野くん、山下さんところの資料を見せて」
河野は、自分の机の上に置いていたファイルを掴んで、美土里に手渡した。
美土里は、1ページごとに、じっくりと目を通した。
そして、顔を上げて河野に微笑みかけた。
「うちで買うわ」
「えっ?」
河野は、美土里の言葉を一瞬では理解できなかった。
なぜ?
一般にさえ売れない家を、なぜ柳本不動産が買うのか?
買ったところで、それを上回る金額で転売することはできないだろう。
貸すにしても、かなり賃料を下げないと難しいかもしれず、そんなリスクを負う意味があるのだろうか?
「どうしようもなかったら、河野くん、あなたが住みなさいよ」
美土里はいたずらっぽく口を曲げて、あっけらかんと言い放った。
「そんなあ~、勘弁してくださいよ~」
河野は、眉を下げて情けない顔になった。

「冗談はともかくとして、買ってどうするつもりなんですか?古家を取り壊して、建売住宅でも建てるつもりですか?建物を取り壊せば、当然に告知義務が無くなるわけじゃないんですよ。そんなリスクも計算に入れてるんですか?」
美土里は、河野の言葉を嬉しそうに聞いていた。
「河野くんも言うようになったわね。私に忠告してくれるなんて、なかなか立派なものよ。でも、おあいにくさま、そんなリスクを負ってまで、建売事業をするつもりはないわ」
「じゃあ、どうしようと言うんですか?」
「ふふふっ、さて、どうしよっかな~。やっぱり社宅にして河野くんに住んでもらおっかな~」
「もう、やめてくださいよ。僕がそういのに弱いの知っているでしょう」
河野は、下を向いて弱々しく溜息をついた。

美土里からは1800万円なら買うからと、値段交渉をするように指示された。
「そうですか、柳本不動産で買い取ってもらえるんですか?それは良かった」
山下氏は、手放しで喜んでくれた。
結局、山下氏の実家を買った後の策がわからないまま売買取引は完了し、柳本不動産の名義に移った。
すべての手続きが終わり、山下氏を銀行の前で見送ると、地下駐車場に停めてある車に2人は向かった。

地上に出たところで、河野が切り出した。
「社長、ここしばらく、何かコソコソと動かれていたみたいですけど、この取引と関係あるんですよね?何をされてたんですか?」
「あっ、そういえば河野くんに話をしてなかったわね、ゴメンゴメン」
「そういえばじゃないですよ。教えてくれてもいいじゃないですか」
「あのね、河野くんも知っている通り、本当に気の毒なことに、以前借主さんだった方のお嬢さんが亡くなられて、あの家は事故物件になってしまったわよね。あのままでは、売るにしても貸すにしても、まともな値段での取引はできないの。だから、うちが買い取ったからって、そのまま、もしくは多少改装したからといって、転売したり貸したりは難しいと思うわけ。じゃあ建物を取り壊して一旦更地にすれば、事故のあった建物自体がなくなるのだから、もう事故物件でないという説もあるわよ。事故物件だったという告知義務も免れるという話もね。でも、そんなことはいつかわかることで、もし告知をせずに知らずに買った人は、どう思うかしら?いくら法的に柳本不動産に非はないということになったとしても、人は柳本不動産に騙されたって思うんじゃないかしら?だとすると、最初からそんな家があった土地だと言った方がいいわよね。それを知った上で買おうという人がどれくらいいるかとなると、それも疑問だわ」
「じゃあ社長は、どうするつもりなんですか?」
「幸い、あの場所は、駅からも近くて立地がいいのよ。だから、旅館業の許可をとって宿泊施設にしようと思うの」
「え~!社長が旅館のおかみさんになるんですか!?」
驚きのあまり、河野は首を捻って助手席の美土里の方を見た。
「ちょっと、危ないじゃない。ちゃんと前を見て運転しなさい」
「私が、旅館のおかみさんにって・・・それも面白そうだけど、そんな本格的な旅館じゃないの。簡易宿所といって、いわゆるゲストハウスってやつよ。これなら、許可も取りやすいし、手間も少なくて済みそうだからね」

なるほど、ゲストハウスなら、告知義務は不要だ。
それに、海外からの旅行者が増えている中、魅力ある立地であれば宿泊施設は有望な事業と思われる。
「社長、ゲストハウスというのは、なかなかいいですね」
「河野くん、でも、どんな物件でもゲストハウスにできるってもんじゃないから、安易に考えないほうがいいわよ」
「旅館業法による許可基準があるから、気をつけないといけないわ。都市計画法で色分けされている用途地域のなかで、許可が受けられる地域とダメな地域があるし、小中高校などが近くにあるといけないとか、その上、保健所や消防署の許可基準を満たす必要もあるの。延床面積が100平米を越える建物の場合で、住宅などの用途で建築許可をとっている場合には用途変更の手続きをしないといけなくて、その際には、建築基準法に合った改造が必要になることも多いのよね」
「結構、面倒くさそうですね」
河野は眉をひそめた。
「まあ、簡単ではないけれど、稼働率が見込める地域なら、賃貸よりもよっぽど高い収益率を得ることができる場合もあるからね。それに事故物件の場合でも、売却や賃貸じゃないので告知義務がないから、そういう物件には検討してみる価値があると思うの」
河野は感心した。
「さすが社長!で、あの家はゲストハウスにできると思って買うことにしたんですか?」
「いや、実は絶対に許可がとれるかどうかは不安だったんだけどね。用途地域は大丈夫だし、近くに学校や図書館などがないから、なんとかなるかな~って。それで、決済までに関係各署に行って確認したり、相談したりして、まず大丈夫だろうってとこまで来たわけ」
「え~、じゃあ、買ったはいいけど、ゲストハウスにできなかったって可能性もあったんですか?」
「そうね、その可能性もあったわね」
河野は、運転をしながら驚きに目を見開いた。
「もし許可されなかった場合は・・・?」
「だから、言ったでしょ。社宅として格安で貸してあげるから、河野くんが住むのよ」
それを聞いた河野の目と口が大きく開いたままになっているのを見て、美土里は爆笑した。(完)

このドラマはフィクションであり、実在の団体や個人とは何の関係もありませんので、ご承知ください。