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今年も光に包まれる神戸の夜がやって来る(2012神戸ルミナリエ)

今月のコラムは、読者の期待を裏切って、ロマンチックな光のお話をお届けしましょう。
期待?今、巷を騒がせている一番のネタは、本マグロの大トロ、大間産!っていうアレ。そう、食品、外食、百貨店業界から端を発した誤表示問題でしょう。勿論、筆者もその話題は十分調査してパソコンに向かったのだけれど、どう考えてもくだらない落ちしか書けない。結局は虚偽表示。生で食うならいざ知らず、日本の料理人たちは世界に出れば殆どが一流のシェフ。美食家【魯山人】でもそれがどこの海から上がったマグロなのかは分からない。要は、企業のモラルの無さと自由経済の悲しさから導き出される方程式の答えが、「虚偽表示」ってことですので、皆さん、メニューに書かれたキャッチコピーには騙されないようにしましょう。


カツレツとは、フランス料理のコートレットのこと。ミラノ風って??(E・recipe)

そんなわけで、クリスマスも間近な師走の街に、きらきらと輝く光のイルミネーションは、人々の心を癒し、わくわくさせ、時には感情を高ぶらせる効果があります。最も有名になった光の祭典と言えば、「神戸ルミナリエ」。1995年1月17日未明に起こった阪神・淡路大震災によって亡くなった7400名余りの魂を慰め、被災された多くの市民の心に希望の灯を、という思いで開催された光のイベントは、あれから18回目を迎えます。その間にも、類似した大小の光の祭典が全国各地で催されるようになったのですが、その規模と、コンセプトから神戸ルミナリエに敵うものは無いようです。


電飾のクリスマスツリー(USJ2006)

何故、人々は電飾に心を奪われるのか。光とは一体何なのかをクリスマスの恋人たちに向けてお届けします。

【ご当地、光の祭典を楽しもう】
北海道・札幌ホワイトイルミネーション
1981年から開催されている毎年恒例のイルミネーション。多数の明かりに大通公園・駅前通り・南一条通りが包まれる。大通公園のイルミネーションのオブジェは、気温が低くなると雪の反射も加わり、より美しく輝きを増す。駅前通りと南一条通りは街路樹にLEDと電球が装飾され、約45万個の灯りで幻想的な雰囲気になる。

仙台・光のページェント
1986年から市民のボランティアによって始まった仙台の冬の風物詩。28回目を迎える今年は、定禅寺通のケヤキ並木に60万個の電球を取り付け点灯する。

東京足立区・光の祭典2013
足立の冬の風物詩「光の祭典2013」は、約70万個のLEDが心おどる光の世界を演出する。メイン会場の元渕江公園内では、20mを超える8本のメインツリーがやさしい光で彩られるほか、幻想的なイルミネーションで飾り付けされた光のアーチが来訪者を夢と未来の世界へ案内する。また、竹ノ塚駅から元渕江公園まで約1.2kmにおよぶ街路樹のイルミネーション「光のケヤキ並木」は、都内でも随一の長さを誇る。

名古屋・NAGOYAアカリナイト2013
今年で4年目を迎える名古屋テレビ塔周辺で開催されるイルミネーションイベント。テレビ塔南側の「さかえ川~もちの木広場」一帯では、約9万個のLED電球を使った「イルミネーション・アベニュー」の他、高さ7メートル、1万個のLEDを使用した「クリスタル・ツリー」を設置。

大阪・光の饗宴2013
「OSAKA光のルネサンス」と「御堂筋イルミネーション」を核に、大阪市内8つのエリアにおける光のプログラムと共に「大阪・光の饗宴2013」として今年度から開催。歴史的建造物の大阪市中央公会堂正面をスクリーンに、光と音楽が織りなすアート作品、中之島バラ園の輝くイルミネーションパーク、大阪市庁舎正面では影絵で大阪文化を表現したライトアップ、全長約1.9km続く御堂筋では、ブルーやピンクなどのイチョウ並木のイルミネーションなど。

京都・イルミエールおとぎの森
京都市内最大級。100万個のLEDイルミネーションに加え、今年は関西初となる、オーロラを再現するレーザーショーを開催。このオーロラショーはスモークをたき、それをスクリーン代わりにして、レーザーを当ててオーロラを再現するもので、澄み渡った夜空に幻想的なオーロラがゆらめくショーは一見の価値あり。

三重・なばなの里ウィンターイルミネーション冬華の競演
光のトンネルは注目。園内の中央に位置する池に、中部地区を代表する木曽川、長良川、揖斐川の川の流れを表現した幅5m、長さ120mの光の大河が出現。チャペル前にはクリスタルホワイトを基調とした高さ18mの大クリスマスツリー2本(ツインツリー)、長島ビール園前の花壇には、高さ2m40cmの光のアーチとブルーのLED(発光ダイオード)で創られた「光の雲海」が広がる。

四国香川・まんのう公園ウィンターファンタジー
50万個のLEDでエントランス広場、風花の庭、芝生広場を中心に園内をイルミネーションで彩る。高さ10mのシンボルツリーや滝の上のシャンパングラスタワーなどもある。

広島・ドリミネーション2013
「おとぎの国」をコンセプトとし、平和大通りのエリアを散策することで、メルヘンの世界を体感できる。今年は14のエリアで、「聖なる水と奇跡のもみじ」という物語を展開。新たに、風船ゴンドラ、気球、エッグポッドなどのオブジェが追加されるほか、光るベンチや切株などの休憩スポットも用意。使用電球約140万個は100%LED化。

福岡・JR博多シティ光の街博多
青と白を基調にした70万個のLEDイルミネーションが冬の博多を幻想的に彩る。テーマは「響(ひびき)」。シンボルとなる高さ12メートルの巨大タワーが登場。2Fペデストリアンデッキの約200メートルの回廊には、オーロラのような動きのあるイルミネーションを実施。また、広場には珊瑚の丘をイメージしたパーゴラや波立つ光の噴水、けやきの木々のイルミネーション、瞬く星と月が描かれた壁面など。

宮崎・イルミネーション・フラワー・ガーデン・ひかりのはなぞの
今年11年目の「イルミネーション・フラワー・ガーデン」は、園内全体が「ひかりのはなぞの」。約110万個のイルミネーションが様々なデザインで彩られる。なかでもメインスポットとなる「ひかりのお花畑」では、ひかりと音楽のパフォーマンス「イルミネーション・ファンタジーショー」を毎日開催し、幻想的な世界となる。

鹿児島・フラワーパークイルミネーション
「フラワーパークかごしま」では、約30万個のLED電飾で園内が彩られる。60mの光のトンネルや光の楽園など、屋内庭園が冬の夜を演出する。

【神戸・ルミナリエ】
神戸ルミナリエは、阪神・淡路大震災の犠牲者の鎮魂と被災者への復興を祈願し、震災後の神戸に観光客を呼び戻そうと、当年(1995年)12月から毎年続けられている光の祭典で、独特の幾何学模様で構成されたイルミネーションで街路や広場を飾り、現在では神戸の冬の風物詩として確実に定着したイベントとなっている。


幾何学模様のガレリアは二人のアートディレクターによって作られる

ルミナリエイルミネーションは、毎年、開催のコンセプトをプロデュースするイタリア人デザイナーのヴァレリオ・フェスティと神戸在住の今岡寛和が手掛け、兵庫県/ 神戸市商工会議所公益社団法人ひょうごツーリズム協会/一般財団法人神戸国際観光コンベンション協会/ Feel KOBE 観光推進協議会の主催によって19回目を迎える。

今年の開催期間は、12月5日(木曜日)~16日(月曜日)の12日間と決定され、回廊部は外国人旧居留地、広場は東遊園地となっている。
開催概要:月曜~木曜18:00頃~21:00、金曜18:00頃~22:00、
     土曜17:00頃~22:00、日曜17:00頃~21:30
開催テーマ:『光の記憶』(Memoria della Luce)
      メッセージ「忘れることのできないあの日。神戸に輝く光の星空は、かけがえのない記憶のかけら。
      ぬぐいされない悲しみと未来への希望が、今も混在している。光は、記憶そのものだ。」
      ヴァレリオ・フェスティ 今岡寛和

イルミネーション製作費:約12900万円(平成25年度)
会場警備費:約14700万円(平成25年度)
その他諸経費:約17300万円(平成25年度)

神戸ルミナリエの発祥は:
ヨーロッパのバロック時代(16世紀後半のルネッサンス期)に盛んに創られた祭礼や装飾芸術のひとつとして誕生した、光の魅力を駆使した建築物がその起源とされ、やがてイタリア南部において電気照明を使用した幻想的な光の彫刻に変化を遂げ、現在の形態になったものです。アーチ型構造体を道路上に設置した「ガレリア」と呼ばれる遠近感のある回廊や、「スパリエーラ」と呼ばれる光の壁掛けなどで構成されます。(神戸ルミナリエHPより)

本場イタリアのルミナリエ:
南イタリアのサレント地方、レッチェから南へ約35キロのスッコラーノ(Scorrano)という小さな街で毎年開催される世界的にも有名なルミナリエがあります。この街は、この電飾産業が盛んで、世界中のイベントに電飾技術を輸出しており、色鮮やかなイルミネーション芸術が主たる産業として栄えています。

【人々は何故光に集うのか】
キャンドルの灯りには脳をリラックスさせる効果があることはよく知られている。室内の電灯を消して、キャンドルを灯す環境操作実験では、右脳の緊張を示す値(Fp2=右全額部積分筋電位と同箇所の脳波の平均値)が、電灯の下にいる時よりも明らかに下がっていることは実証済みである。(IPU・環太平洋大学教授、岡山大学名誉教授[心理学]、京都大学文学博士)
又、左脳の緊張値(Fp1)においても、言語的コミュニケーションや計算処理等から生まれてくる、左脳に原因を持つストレスも和らげているこが分かっている。


電飾の中でも心は癒されるのか(スッコラーノ:イタリアプーリア日記)

ルミナリエは電飾の芸術であるから、自然光(炎や太陽光など)と異なり、人間の脳を癒すことが出来るのだろうか?
米国の心理学者、ケネスJガーゲンによれば、蛍光灯を使った場合、人の心は清々しい気分になる一方で無機質イメージも抱く。白熱灯は、物の色合いをオレンジ色や黄色み掛って映し出す。これは白熱灯がオレンジ、黄色、赤などの暖色系の波長(光の成分)を持つからである。又、人は薄暗い場所において他人と親密な関係を築こうとする。暗さが増せば不安感が募り、明るさが増せば安心感が増幅する。ルミナリエや電飾芸術の効果は、こういった人間の灯りに対して持つ脳の働きを巧みに利用し、人々にメッセージを発信することが可能なのである。

夕闇が辺りに立ち込めてくる頃、一斉に点灯される暖色系のLEDに飾られたガレリアの回廊の中、人々は一瞬にして闇の不安から解き放たれ、安堵と愛情の世界に救われる。キャンドルライトが緊張を和らげ、リラックス効果をもたらすのに対して、電飾芸術では愛に溢れた安堵の世界を創り出せるのだ。

時は1995年。街からはネオンサインや店舗の灯りが消え、暗く沈んだムードの中におかれた神戸の人々に、忽然と現れる神の光は、一人ではないという安心感と、そこから導き出される勇気を感じたに違いない。それが、神戸ルミナリエの本質であり、県外から来られる多くの観光客にとっても、自らの境遇や環境の違いを超えて、安心と希望を求めて足を運ぶのであろう。


灯りは死者の魂も鎮めてくれる…(灯篭流し:イメージ)