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流行り病のように広がっていくスマホなどの端末(イメージ)

時事通信によると、韓国でスマートフォン(多機能携帯電話)がないと「禁断症状」が出るなど、日常生活に支障が出る「スマホ中毒者」が急増しているという。
未来創造科学省(韓国)が最近公表した2012年の調査によると、10~49歳のスマホ利用者中、「中毒者」と定義される人は全体の11%で、11年より3ポイント増加。10代では18%と、ほぼ5人に1人が「中毒者」で、11年より7ポイントも増えた。韓国ではスマホの普及が急激に進み、11年に21%だった6~19歳の所持率は、12年には3倍の65%に達しており、この年代の3人に2人は持っている計算となる。
使用方法は「無料メール(ライン)」などの「インスタント・メッセージ」が最も多く、ニュース検索、ゲームがそれに続く。全体では、1日の利用時間は平均4時間だが、「中毒者」の場合、およそ倍の7.3時間に及ぶという。日本でも同じ現象が見て取れるが、本編でこの状況が人間に与える影響を予測する。

【スマートフォンとは一体何者だ!?】
2012年度の携帯電話端末全体の国内出荷台数は前年度比2.2%減の4181万台、このうちスマートフォンの出荷台数は同23.0%増の2972万台だった。総出荷台数に占めるスマートフォンの比率は前年度の56.6%から71.1%に拡大した。
2013年度の携帯電話端末全体の国内出荷台数は、2012年度比0.9%増の4220万台となる見通し。このうち、スマートフォンは3240万台で、全体の出荷台数に占める比率は76.8%に拡大するとしている。
つまり、単純に今後携帯端末を購入する人は10人に7~8人はスマートフォンにと考えている計算となる。

ところで、この爆発的な伸びを示すスマートフォンとはいったい何者であろうか。少しその歴史を紹介しておく。

【スマートフォンの登場】
日本製の携帯電話端末機の高解像度カメラやE-メール機能、ブラウザ機能を搭載している性能は世界的に評価される。技術開発の標準的方向性からすれば、益々携帯電話端末に磨きを掛けるというのが常套手段だが、OS(オペレーションシステム)の秘密性によりフリーウェア等の導入が難しく、主に通信機能を中心とした一般ユーザーに向けた開発過程から、ビジネスアプリケーションが欠落し、情報携帯端末(PDA)としての機能が搭載されていない。そのような中、PDAとして1997年以降、アメリカを中心に世界中でビジネスマンの人気を博した「BlackBerry(ブラックベリー)」や「Nokia 9000 Communicator」など、携帯電話開発の一方で情報携帯端末のシェアは確実に広がっていた。


Nokia 9000 Communicator

【これがスマートフォンだ】
そう見てくると、スマートフォンと呼ばれる端末機は、何も目新しい新種の情報端末ではないことが分かる。つまり、今私たちの殆どが使用しているいわゆる携帯電話端末と一線を画すビジネスジャンルに特化した携帯端末機を「スマートフォン」と呼び、携帯電話特有のOSやブラウザを使用せず、PCと同程度の機能性を備え、オープンソースを基本としたプラットフォームを採用する「電話機能+PC機能」を持たせた携帯型情報端末機が広い意味でのスマートフォンと定義できる。(2011.1ラビットプレス・マンスリーワード抜粋)

【スマートフォンで何が出来る?】


dekiru.impress.co.jp

まずは、快適なインターネット環境下での作業メニューの使い勝手。標準装備でフルブラウザ(パソコンと同じ画面)対応になっているため、従来の携帯と比較すると桁外れに快適なインターネット接続ができる。又、それに関わる様々な機能もパソコン同様に行えるのも大きな魅力となっている。

  1. ユーチューブに代表される動画の視聴が快適(アプリ標準)
  2. 音声でWeb検索。これはスマホの代名詞機能
  3. スマホがルータに早変わり(テザリング機能)
  4. クラウド。ネット上の情報の共有、同期(データの最新化ツール)
  5. 通常回線と無線LANの接続が可能(3GとWi-Fi)
  6. FacebookやTwitter、LINEといったSNS(ソーシャル ネットワーキング サービス)
  7. 様々なメール機能が使える(キャリアメール、Gmailなど)又、PCのアカウント設定で共有できる
  8. 音楽聴視に最適(音楽プレーヤーとしての機能)
  9. マルチメディアプレーヤー(映像、写真、音楽)
  10. ナビゲーション(GPS機能の利用)
  11. 電子書籍
  12. PDFやExcel(エクセル)/Word(ワード)等のファイルをスマホから閲覧可能
Etc

スマホは、各機能に対応したアプリを追加インストールすることで、その機能はさらに広がっていく。従来の携帯でできていた機能(デジタルカメラ機能やゲーム機能等)も当然使用することができ、お財布ケータイ機能や赤外線機能など携帯特有の機能も対応している。従来の携帯(ガラケー)のノウハウを各キャリアはすでに持っているわけで、今現在スマホにはない機能でも、需要があった(需要がある)機能に関しては、対応していくことは当然である。


【デジタル依存症・スマホ中毒の医学的分析】
ネット中毒症状は、ドラッグまたはアルコールに夢中になると現れる脳変異に似た状態を起こすということを予備研究が示唆した。
中国の専門家は、17人の若いネット中毒の脳を検査し、彼等の脳がインターネットを利用している過程である障害を見つけたという。


ネットカフェなどでは毎日の光景だが…(イメージ)

武漢の中国科学院ハオレイ博士主導の調査チームは、14歳から21歳までの35人の男女の脳スキャンを行なった。彼等のうち17人は、「インターネット使用を制御するか、少なくするか、中止する行動に繰り返し失敗しているか」というような質問に「はい」と答える基準で、インターネット中毒障害(IAD)を持っていると分類された。
その彼等のMRI脳スキャンの結果は、非中毒者と比較して、中毒であると分類された神経線維を含んでいる脳部分の白質化を示したという。ここは、感情や意思決定と自制を含む脳域に関係する神経線維に接続する部分で、障害の痕跡があった。博士とチームは、「私達の調査では、IADが情緒的生成と処理、実行注意力、意思決定と認知制御に関する脳域で異常な白質集積を持っていることを示した。その結果は、IADがさらに他のタイプの中毒物質と衝動調節障害を有する心理的・神経的機構を共有するかもしれないことを示唆する」と発表。
又、ロンドン王立大学精神医学研究所の生物学・精神医学教授のガンター・シューマン博士は、同様の発見がビデオゲーム中毒者で見つかったと述べ、BBCに対し「初めて二つの研究が、インターネットまたはビデオゲームを頻繁に使用している人々の脳機能の異変と同様に脳域間のニューロン結合の変異も示した」と伝えている。
ロンドンのインペリアルカレッジの上級名誉講師で精神科医のヘンリエッタ・ボーデンジョーンズ博士は、中国の研究に関するコメントで、研究が「革新的」であると言い、「私達は、全ての臨床医が今まで疑っていたオービト前頭皮質と他の重要な脳域の白質異常が、物質が関わっている中毒(アルコール依存など)だけでなく、インターネット中毒のような行動にもあると言うことができる」として、調査結果を確認するためには詳細検討が必要であると言っている。
これらの発見は、習慣性行動の新治療法に結びつくかもしれない。インターネット中毒とは、制御不可能なインターネット使用で特徴づけられる臨床的障害である。


キンバリー・ヤング著・小田嶋由美子訳(毎日新聞社)

【デジタル依存症からの脱出(デジタルデトックス)】
メールはリアルタイムにチェックし、数分おきにTwitterに投稿。移動すれば、foursquareにチェックインする。食事はInstagramで撮影して、複数のSNSに投稿。読書や映画はFacebookに感想を載せるために鑑賞する…なんて人は多いはず。ビジネスもプライベートも関係なく、四六時中オンラインになっているのが当たり前で、地下鉄内で数分圏外になるだけでもイライラし、中には電波の届かない地下のお店などには入らないようにしている人や、様々なデバイスを駆使してオンラインを維持しようとする人も新幹線の車中などでよく見かける。
ここまできたら完全な依存症。勿論、心療内科に通院を余儀なくされるほどの病気である。電話やメールの着信音が鳴ったら心拍数が上昇し、受信するのが億劫と感じる前に、依存症を認識して対策を行う必要がある。
そこで、お勧めするのが「デジタルデトックス」。これは“デジタル中毒を解毒する”というアメリカから広まり始めた運動で、デジタル機器を家に置いて出かける短期の旅行プランなどが人気を集め、ビジネス化している。又、ホテルによっては、チェックイン時にスマホやPCを預けると割引を受けられるサービスを用意しているところもある。


そのスマホはお預かりします!!(イメージ)

何も旅行に出掛けなくても普段の生活でも出来る。まず休日にスマホやPCを一切触らないようにする。さらにテレビやビデオなどのデジタルアイテムは全て止めて、読書や散歩などアナログでしてみる。食事中にイライラするなら、それは間違いなく禁断症状。周囲に目を移し、最近見ていないものに注意を向け、人との会話に集中する。半日だけでも良い。随分と心が軽くなるのが分かるはず。次第にオフの時はずっとデジタルから離れるように、徐々に時間を延ばしていく。仕事に関する緊急の用事が飛び込んでくる可能性があるときなどは、完全に離れるのは難しいかもしれないが、「オフの間は連絡が取りにくくなる」と事前に連絡しておけば、ほとんど心配ないだろう。本当の緊急時にコンタクトが取れるようにさえしておけば問題ないはずだ。
そして、デジタルデトックスから通常生活に戻ってメールを確認しても、着信履歴を見ても、特に何も起きていないのが普通だから、案外安心するはず。これを日常に組込んでいくことが出来れば、オン・オフの切り替えも、デジタル・アナログの切り替えもスムーズで、脳に適度の刺激を与える好結果となる。