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衆議院選挙も終わり、新生日本が船出した!(時事通信)

新年あけましておめでとうございます。今年の最初のトピックスは、昨年暮れに行われた衆議院選挙において政権を担うことになった〇○党によって、新しい政府が誕生し、そして船出した。本コラムは、その衆議院選挙期間中に執筆したものであるので、現時点ではまだどこが選挙戦に勝利するのか分らない。そこで、筆者の予想も含み、新生日本の今年一年を想像しながら、既存政党や第三極と言われる新党の影響を取り入れた「2013日本はこうなる?」を政治嫌いの貴方にも優しく解説する。

【各政党のマニフェスト又は政権公約から】

現在で話題に上っている4党の政権公約一覧表を比較すると、既存政党2党については、現行の路線の踏襲もしくはアレンジ路線を打ち出しているのが分かる。一方で、第三極においては、当然と言えば当然だが、独自の公約を特徴的に示している。
自民党の公約が発表されたのが昨年11月21日。民主党は1週間遅れの27日。自民党の公約策定過程は、民主党政権下で成し得なかった多くの重要課題に対する優等生的な改変論が目につく。つまり、各論を中心として実現性を重視した主張が特徴である。しかし、民主党においては、さらに自民党公約の隙間を埋めるような表現と、政権政党であるプライドをのぞかせる対抗案のように映る。勿論、民主党は現在進行形の政策を抱える身であるから、これまでの経験過程を踏まえた構成になっているのは当然である。

他方、第三極政党の維新と未来はどうか。維新においては当初の公約である「維新八策」をベースに、石原慎太郎を巻き込んだ(巻き込まれたのはどっちか?)為に修正を余儀なくされたと分る表現を多用している。フェードアウト、この場合は反対に回る、制度の検討、などがそれである。
未来は最後に名乗りを上げた新党で、亀井静香らが所属する「減税日本・反TPP」が合流し11月27日に立ちあげた。時間的な制約もあってか、マニフェストの出来は低評価であり、嘉田由紀子滋賀県知事の「卒原発」部分だけが目立つ主張で、他は政策分析も出来ていないような状態である。


赤いバラは誰の手に…(第45回衆議院選挙・時事通信)

政権公約のみを見て比例の政党を選択する必要もなければ、信じる国民も今となっては少ないだろう。民主党の2009マニフェストの破綻は、絵に描いた餅であることを強く印象付けた。だからといってウソ八百とは言わないが、それぞれの分野の政策実行には、複雑に入り組んだ国家の仕組みと諸外国との関係が影響すると共に、日々変化する国際情勢や経済状況がいとも簡単に公約を実現不能な理想論と化してしまうからだ。


【新政府は何から始めるのか】
内閣の次期通常国会召集日の調整は2013年1月末頃を目途に行われるだろう。通常国会では、内閣が総辞職し、新たな首相が議員の中から選出される。自民の過半数か、民主堅持か、はたまた第三極を巻き込んだ連立政権の誕生か。興味は尽きないが、国会が始まればミーハーな興味などどうでもよく、早々眼前の課題に押しつぶされる日々が待っている。勝利の余韻やバッジの輝きに酔っている暇などない。


ホワイトハウスはすでに動いている(イメージ)

アメリカのオバマ新政府はすでに昨年の10月から積極的な外交を展開している。再選後も最高所得層の増税案を堅持し、1.6兆ドル規模の税収確保を目標に「財政の崖」に挑む。政権を担う〇○党総裁は、首相指名を受けて間もなく、アメリカ合衆国ホワイトハウスへ首脳会談の申し入れを行うが、日程調整がつかないとして3月初旬まで待たされる。TPPに交渉参加をとりあえず反故にした新政府だが、民主党政権下でのTPP参加交渉に関する第1級機密文書に触れ、態度を豹変させるであろう。つまり、再検討という類の言葉を用いた、TPP参加交渉の早期実現に動き出すのは明らかである。当然、マニフェストに謳ったTPP不参加や反対は早くも破られる結果に国民は「またか。」と嘆くのである。

次に消費税増税案の具体化に向けた調整が行われる。2014年4月を実現させる為の方策が政府税制調査委員会で討議に入り、小手先の条件(2013年秋ごろに実質経済成長率が2~3%で推移していることなど)を付すが、数字の操作でいくらでも好転を印象付けられるのだから、結局は予定通りの税率8%時代がやってくるのは確実。


(資料)内閣府


消費税の使い道は?(イメージ)

消費税の使途については、与野党の協議(なれ合いの調整)によって、地方税化の一つである一部地方共有税基金の創設が議論されるが、年内に結論は得られない。そもそも、消費税の地方税化には財源を消費税11%と仮定しているから、8%増税時点では国の負担が大きすぎるからである。

併せて、年金制度改革も検討されるが、そもそも現行の二元(基礎年金と被用者年金の二層構造)制度を基に厚生年金、国民年金、共済年金という分類でそれぞれの就労形態によって複雑化した現行年金制度をそう簡単に解体し、一元化することは難しく、民主党政権下で発覚した年金記録問題も一段落したこともあり、現行制度の発展的見直しという厚生年金と共済年金の統合が議論の中心をなす。現時点では、当面の給付財源も消費増税の数字から確保出来るとし長期的展望として据え置かれる公算だ。公務員の既得権に踏み込むことの難しさは、新政権とて同じことだからである。


国を守るためには…(防衛省)

外交問題に移ると、新政権の評価はある程度得られるのではないか。故に、どの政党も「強い外交」政策を基本としており、国民にアピールするには最も分かりやすい政策であるからだ。2013年2月25日に大統領に正式就任する韓国新大統領との会談や、オバマ大統領(USA)との会談も控え、TPPに積極姿勢へと政策転換した「お土産」を引っ提げて、新首相や新外相はアジアを中心に飛び回る。国際協約上の友好関係を維持する国家間の協議では、中国の領海侵犯問題や北朝鮮の核開発抑止について、旧政府と変わらぬ進捗の無い協議が主であろう。尖閣をはじめとする領土防衛についての協議は、新政権下でも先送りとすることで失態を招かないことが肝要であるから、あくまで、固有の領土において紛争は無いという姿勢に終始する。新政権下の韓国においても、竹島(韓国名:独島)の実効支配は継続するが、李明博前大統領のような挑発的行動は、日本の憲法改正議論と自衛隊法改正の成り行き次第ということであろうか。

【2013年の行方】
これまでに述べて来た今年の予測的観測を読者はどう見るか。「なあんだ、これじゃ今までと変わりないじゃないか」という声が聞こえるのだが、あながちそうとも言えない。2012年を振り返ってみると、実は大きな政治的変革期が見えていたことに気づくのである。3.11以降、民主党政府は、国内の大惨事にその神経を集中してきたことがわかる。当然、経済や外交といった分野には隙間が出来るし、巨額の財政赤字も災害復興には誰しもが目を背けなければならなかったのであるから、有効な政策は影を潜めた。しかし、野田内閣発足後、短期間政権であったにも関わらず、今回クローズアップした各政党による政権公約に示されているとおり、かなり具体的な方向性が打ち出されているのは、災害復興にのみとらわれて来たそれまでの政府の対応から、国家運営に舵を切り直し、直面する諸問題を主役に引っ張り出したことは評価に値する。
従って、今年の新政府は、実は非常にやり易い状況においてスタートを切ることが出来たのである。つまり、問題がクローズアップされ、やるべきことが明確に見えているといえる。これを成功させれば、近年にない優秀な内閣と評価されることは勿論、勢いに乗って外交分野においても元気な日本をアピール出来るに違いない。


野田さん、あんた結構がんばったよ(共同通信)

さあ、長く暗いトンネルから抜け出すことが出来るか。貴方の一票はどう活かされるのかをしっかりと見極めなければならない時が来た。

<執筆日:2012.12/11>